ボルネオ島について
東京よりおよそ4000キロメートル、南シナ海に浮かぶボルネオ島。
現在はインドネシア共和国、マレーシア、ブルネイの三か国により構成されています。島の大きさは世界第3位、日本の2倍もの面積を誇ります。
赤道直下に広がるボルネオの熱帯雨林は、世界でも有数の生きものたちの宝庫です。雨に恵まれた森は、太古からあらゆる生きものたちのゆりかごとなってきました。ユニークで多種多様な動物たちのなかでも、ボルネオ島だけに生息するオランウータンはよく知られた存在です。 哺乳類だけでも200種以上、鳥類であれば600種以上、無数の命が活動する森には、知られざる生きものたちが今も数多く存在することでしょう。
しかし近年、この豊かな森の将来が心配されるようになりました。ボルネオの広大な大地と森が、世界中の人たちから「資源」として注目されたためです。わずか30年の間に、もとあった森林の半分が失われたといわれ、その原因として過度な伐採や、アブラヤシの農園開発が問題視されています。
一方ではボルネオから得る材木や紙が、日本にとっても欠かせない存在であることや、アブラヤシから採れるパーム油の生産が地域の人たちの暮らしを支えていることも事実です。
ボルネオの中心部に残された豊かな熱帯雨林は「ハート・オブ・ボルネオ」と呼ばれ、国境を越えて保全のための動きが高まっています。
こうした急速な時代の流れは、ボルネオの自然に対して影響を与えてきただけでなく、森と共生する先住民たちの生活も揺さぶっています。